
株主・投資家の皆様には、平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
まず、2025年3月期の業績概要について、ご報告いたします。
当連結会計年度における我が国の経済は、依然として先行き不透明な状況が続いており、日本のすべての産業の外部環境が劇的に変化を続けた1年でした。インフレや不安定な海外情勢を背景とした物価高騰の影響に加えて、労働人口の減少による賃金上昇や労働力不足が進行している一方で、我が国の介護報酬単価は硬直化しており、これらの負担増に対応できずに、私たち介護事業者にとっての経営上の大きな課題となっております。
そのような状況の下で、当社グループは、現在の外部環境の大きな変化に先行して3つのポイントに注力してまいりました。
まずは、「コスト管理による財務力の向上」です。これは購買コストの削減だけにとどまらず、これまで外部に委託していた業務の内製化や、リース契約を終了し現金での購入に切り替えることなど、購買に関するキャッシュアウトの最小化と強固な財務基盤の構築を行ってまいりました。
次に、「的確な出店・移転戦略と事業の選択と集中」です。事業成長のためには、事業所の出店は不可欠になりますが、インフレによって、テナント賃料やエネルギー価格、原材料費がいずれも高騰しております。また、地域ごとの人口動態の変化も速くなっているため、当社グループでは過去のデータだけで判断せずに、実際に足を運び、地域の現在の状況を把握した上で、新規出店の判断を行っております。加えて、既存事業所の改修や好立地への移転も随時進めてまいりました。
2025年3月期の事業所新規開設は、在宅介護サービス事業で2事業所、シニア向け総合サービス事業で1事業所の計3事業所となりました。
また、当社グループでは2015年より中国上海市にて事業を展開しておりましたが、現地での事業環境の変化や将来の見通しなどを複合的に勘案し、海外子会社「上海福原護理服務有限公司」の解散および清算を決定いたしました。
最後は、「事業のカギとなる“人材の確保”」です。「従業員を守る」=働き方改革 というテーマでさらに3つの施策を実行しております。1つ目は「継続的な賃金ベースアップの実施」、2つ目は「労働環境の改善」、3つ目は「採用手法の改良」です。これらの3つの施策を行ったことによって、この1年間で明らかな兆しとして見えてきたのが、応募者の増加による採用人数の増加と、従業員の定着率向上です。新卒・中途採用とも、応募者数は過去と比べて明らかに増加し、従業員の定着率も向上し、退職者数は過去と比べて大幅に減りました。
以上の結果、2025年3月期の売上高は、9,862百万円(前期比2.3%増)、営業利益は520百万円(前期比0.5%増)、経常利益は581百万円(前期比4.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は374百万円(前期比1.0%減)となりました。なお、海外子会社の清算に伴う費用を特別損失に計上いたしました。
次に、2026年3月期についてです。
冒頭の2025年3月期の振り返りで記載した通り、近年の外部環境は大きく変化しております。当社グループとして、このまま旧来の方向性・戦略を継続することは、計画策定の前提条件からの乖離が大きくなっていく可能性が高いため、2022年5月に発表いたしました『長期の戦略・投資イメージ(2023~2033)』を停止いたします。
2026年3月期の事業所の新規出店は、現地に足を運び、実際の地域ニーズと開設コストを鑑みながら、機動的に実行いたします。また、2025年3月期に引き続き、既存事業所の改修や好立地への移転を積極的に進めてまいります。
主力事業の一つであるエンゼルケアサービスでは、2025年4月に高知県高知市に、5月に神奈川県横須賀市に事業所の新規開設を行いました。近年、エンゼルケアサービスは全国的に非常にニーズが高く、売上、件数ともに伸びております。現在、積極的に提供エリアを拡大しておりますが、ここまで新たに進出したエリアでも順調な立ち上がりを見せており、当社グループとしても体制をさらに厚くして、事業をスピーディーに展開していきたいと考えております。
以上により、2026年3月期の業績予想につきましては、売上高10,370百万円(前期比5.2%増)、営業利益609百万円(前期比17.1%増)、経常利益624百万円(前期比7.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益411百万円(前期比9.9%増)といたします。
株主・投資家の皆様におかれましては、今後もなお一層のご理解とご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
2025年6月
代表取締役社長
福原 俊晴








